見てビックリ行ってもっとビックリ

筆者は社会に出て以来、首都圏や地方の大企業で働いていました。
その際に地方営業所のお客さんに商品提案に行ったりもしたので、それなりに「地方の中小企業」の輪郭程度は掴んでいるつもりでした。

しかし、現在はその環境下にどっぷり浸かってみて、「なかなかどうして、なかなかだな」と思わざるを得ない現実を目の当たりにしています。

この記事ではその課題について、「人」の観点と「仕組み」の観点、および「業務システム」に分けて書いてみます。
実はそれがそのまま伸びしろになるわけです。

本来は、「地方」という切り口と、「中小企業」という切り口は分けて論じたいところです。
しかしそれらが組み合わさったことでの相互作用が多分に発生している気がするので、何が主要因かわかりにくいカオスな表現も多くなりますが、まずは事象を捉えてみましょう。

前提として、筆者の現在の勤務先は、地方都市で従業員数十人、売上数十億です。ここで見たものを書きます。

人にまつわる課題、つまり伸びしろ

女性非活用がむしろ「無のギブアンドテイク」を成立させている

地方の中小企業に入社してまずはじめに思ったのが、女性スタッフが”優秀”であることです。

ここで言う”優秀”というのは、バリバリ仕事ができるとか男勝りに働くというよりは、どちらかというと「会社から求められている役割を完璧にこなしている」というニュアンスです。

ならば問題ないじゃないかとなりますが、先に述べると、彼女らの「役割」が難易度の割に評価に結びつかないものなのです。

筆者の働く企業では、社員がそもそも少ないこともあり、女性スタッフはそれぞれのメインの仕事に加えて、電話番と接客がもれなくついてくるようなイメージです。
電話や接客では、業種的に比較的高齢者を相手に会話する必要があり、かつ、商品の受け渡しを伴うやりとりであれば商品の知識も必要となります。

一般論では、自分の担当分野以外の問い合わせであれば「担当が別にいますので」で良いわけです。大きな会社はそれでも顧客に理解されるでしょう。

しかし会社が小さいと、担当がそもそもつかまらないことが多い上に、紋切り型の冷たい対応などしたものなら「なに大企業みたいなこと言ってるの?」くらいの態度をみせる客もいます。その人が意地悪なのではなく、むしろ「大企業のやり方が好かないからあんたのとこに来た」という客も多いわけです。

しかも、後述しますが、問い合わせ管理についてまったく組織的にシステム化されていない状況です。
それでも、彼女らはそれなりにこなすことができています。
(実際は主担当の営業が後で尻拭いしているケースもあるかもしれないが、少なくとも大きなクレームになったことはない。)

それを可能としているのは、個人的にはどちらかというと嫌いな言葉なのですが「コミュ力」そのもののように思います。
言い換えれば、相手の雰囲気を察し、自分がまともに対応できなくても気分を損ねないようにうまく取り合う能力。

主要都市圏の大企業であれば、そういった電話番や雑用メインの事務スタッフはたいてい派遣社員です。
派遣社員は能力の個人差が大きく、周囲にまったく気が回らない人もたくさんいますが、そもそも契約で規定された範囲の業務をこなせれば合格点とされるので、それ以外の多くは求められません。

しかし地方の中小企業ではそうはいかず、「コミュ力」がある人でないと働くのが難しいようです。
(そもそも営業職だったら当然ですが、机仕事メインの事務職でも同様です)

そこで問題なのは、次の3点です。

会社が女性の能力を経営に活かそうと思っていない

一方、彼女ら自身も現状にそこそこ満足してしまっている

そもそも彼女らの向上心を生むモチベーション(待遇)がない

つまり、会社は多くを求めないから職権も給与も与えない、彼女らも多くを求められたくないし、給与に見合わないから、もっと業績に貢献できる能力があるのに、今の仕事以上のことはやらない

与えないし、与えられもしないという、冷ややかに言えば「無のギブアンドテイク」が成立しているとも言えます。

会社としては投資して利益を生むという企業活動に沿っていませんし、彼女らにとっても潜在能力を無駄にしているという互いに好ましくない状態です。

しかしよく見ると、課題が「にわとりかたまごか」状態になっていることがわかります。

会社が組織として女性活用を掲げ、見合った役割と給与を与えれば、個人も能力開発に努め、会社の業績により貢献する女性も出てくるでしょう。
また、個人が現状に満足せず、業務の幅を広げて会社に貢献を成したいという意識を持ってやり遂げれば、待遇向上を訴えたとしても会社もNoとは言わないはずです。

つまりいずれかの現状を打破できれば、一気に好ましいスパイラルが回り出すでしょう。

そのためには、現状の業務で手一杯になっていてはいけません。
現状業務の整理と効率化により、時間と心に余裕が生まれてこそできる挑戦です。

そのお手伝いをしてあげられる人が必要なのです。

システムに明るい担当者がいない

「社内SE」を抱えるような企業は、そこそこ規模が大きいところだけです。

規模が小さければそれほど複雑なネットワーク環境や多数の業務サーバーを用意する必要はありませんから、家庭環境レベルの回線プラス最低限のサーバー程度でまかなうことができ、専任を用意するほどの仕事もないのです。

なお、文系出身者が地元企業に就職する場合は、営業職だったり、経理や総務などの事務職だったりがその受け皿となります。

一方理系では、設備や生産技術、品質管理など工業系の有資格者や、建築、農業あたりは田舎でも職があるかもしれませんが、IT 職に関してはそのほとんどが都市圏や大手企業に就職してしまいます。

「ITの勉強をして地方に残ろう!」という存在は皆無なわけです。
なのでそれが狙い目となります。

そのような事情から、地方の中小企業となると、社内でパソコンに強い人と言っても、せいぜい趣味で覚えた若い人とか、大きな企業で働いていたので一通りのツール(Excel, Wordなど)を使うのには苦労しない人、という程度です。

ましてや百戦錬磨の大手メーカーのベテラン営業マンに対して、正当な根拠をもってシステム関連の値下げを交渉したりできる人員はいないに等しいでしょう。

そのため、端末の改廃や多少のネットワーク変更程度のことでも大手企業のSEを派遣させ、本来内容に見合わないような馬鹿馬鹿しい費用請求を飲まざるを得ない状況を抱えています
元SEの社員がいれば、その程度は外部に頼らず片手間でもできてしまうでしょう。
 
本来コスト部門たる事務職がやれるコスト削減というと、コピー代の節約だとかそういった微々たる箇所がせいぜいです。
それが事務職ながらシステム関連の「適正化」を判断し実行できる人材がいるとすれば、会社に対して大きな経営貢献となるのです。

 
あまりにレベルの低い話で恐縮ですが、私が現在の企業内で歩んだ道です。
「SE転職あるある」とも言えるでしょう。

  • ショートカットキーやALT+TAB操作をしたところ「魔法使い」の称号
  • 朝礼でIT用語を交えて話をしたら「呪文を唱えた」
  • ネットワーク設定をすれば、「銀行をハッキングして俺の口座に振り込んでくれ(切実)」
  • ECサイトのHTMLをコーディングしたら「大先生」
  • Excel のマクロで社内システムとの連携ツールを作ったら、ついに 「神様」

世の中に神なんてあったもんじゃないと思っていたのに、灯台下暗しだったようです。

ベテラン社員に引きずられる

これはどの企業にも言えますが、声が大きいのはベテラン社員です。

しかし大企業なら毎年のように若い社員が数入ってきて一定勢力を形成しますが、中小企業はめったに若い人が入ったりしません。
会社は目先の売上・利益をコンスタントに確保したいわけですから会社から大事にされるのもベテラン社員であり、若手社員の成長ロードマップを策定して計画的に取り組むなど皆無です。

したがい、効率化目的で何かの仕組みを変えたくても、60歳前後のベテラン社員がその仕組みを使いこなせないから却下、という残念な会社判断が下されることが少なくありません

 
何かを導入しないと営業成績が落ちるとか、サービス残業まみれになるとか、そもそも顧客と取引できないとか、そんな事態にでも陥れば会社に新しい仕組みが導入されることもあります。

しかしそのような劇的な変化は外圧にでも頼るほかなく、単にマンパワー・人海戦術でなんとかできる課題であれば、前述の女性スタッフや若手社員に仕事を振ったりすることで自分の痛みは最小限にしつつ乗り切ろうとするでしょう。

その状態が一番良くない。
自分がやりたくない、もしくは処理能力を超えているからといって、その人にない能力を持った人たちの時間を奪ってしまうわけなので。

 
こういった状況を打破するのは難しいですが、まずはベテラン社員に仕事を振られている若手や補助スタッフを味方につけるのが良いです。
そういった人から業務の詳細を聞き出し、システム化・省労力化できるところを見つけて手伝ってあげましょう。

ただし、効率化できてもミスが増えてはいけません。
ベテラン社員が「俺が教えたやり方を勝手に変えるな」と怒らないよう、ミスが生まれない、もしくは逆にミスを減らせるような提案をしなければいけません。

これは希望的観測になりますが、本来はベテラン社員ほど、中小企業の苦しい現実やら将来の不確かさを切に感じているはずです。
そのため、大企業の窓際社員のように、自分の仕事を意図的にブラックボックス化して立場を維持しようとするような発展性のないことをしていたら、会社が傾くだろうことを知っています。

しがたい、会社は常に変化をしなければいけないという意識をベテラン社員も含め共有することについては、大企業よりスムーズにできるのではないかと考えています。

希望的観測ですが。

組織のしくみとしての課題。つまり伸びしろ

とにかくアナログ。もはや国全体の課題

アナログスキルを多用

そもそも、筆者のこれまでの社会では、まず文字を手書きするいうことがほとんどありませんでした。
そのため、電話で書き留めたメモが読めないような、榊莫山をも彷彿とさせる芸術系筆跡を誇る社員も大企業には珍しくなく、だからといってたまにネタにされるくらいで特に仕事の遂行上は支障ありません。

しかし今の職場では、読めない字を書いていたら大問題となります。

経理だから手書きで数字を書く機会が多いのですが、おっさんになって今更、自分が書く数字のフォルムに自信が持てません。
ずっと書いているとゲシュタルト崩壊も相まって、書くたびに筆跡が違っているという乙女心のような不安定さ。
 

また、ゴム印電卓などの、もはや地層から出土されるジャンルかとさえ思っていた古代文明の利器も多用します。
エクセルシートを見ながら電卓を叩いてる人を見ると、オーバースペックとはこのことかとへんに腑に落ちたりもします。

もちろん総務や経理であれば、外部との書類のやりとりで捺印が発生するのは当たり前といえばそうなので、SE時代の仕事とのギャップに起因した感覚というのもあるでしょう。
しかし、総務系にとどまらず営業も技術も皆、社内で閲覧される資料にさえそれらを多用するというのは異様にすら感じます。

元はと言えばあらゆる書類のやりとりが紙で行われているのが原因の一つなので、少しでも紙を減らすことができれば自ずと改善します。

「ペーパーレス」は、個人的には、闇雲に推進すると失敗するソリューションNo.1なので、その認識さえ正しく持っていれば、少しの労力で大きな成果を生む可能性を秘めています。

こんな世の中にしたのは誰だ!?

実はこの状況を作っているのは国にもその責任の一端があります。

役所も税務署も法務局も地方振興局も、とにかく申請書類は紙・紙・紙。
中堅以上の企業なら税務申告はe-Taxでしょうが、税金の振込は結局振込用紙。

入札も最近は電子入札が増えていますが、いまだに紙の案件では、特定の色のコクヨ紙ファイルに書類を順番に全部閉じ、表表紙と背表紙に指定の文言を記載、などと指定される始末。
汚職を防ぎ公平性を保つための入札の仕組みなのに、コクヨやテプラのキングジムと癒着しているのではないかと疑うほどです。

そしてその役所系の場所を実際に訪れると分かりますが、とにかく書類棚とファイルの山。

入札資格審査申請書類を提出に行った時に、別室に通されて、目の前でチェックが始まったことがありました。書類の過不足チェックから始まり、各書類を一行ずつ鉛筆でチェックし、ときには電卓を叩いて何やら検算していました。
「データで提出させて機械的にチェックすりゃ良いのに」という当たり前の感覚が無いようです。

申請を受け付ける側がアナログならば、提出する側のデジタルスキルが上がるわけがありませんね

その安定性から地方の優秀な学生が目指すようなお役所系ですらそんな状態なわけですから、こりゃNEC・富士通をはじめとしたお国お抱えのシステム屋はこれからまだまだ国に儲けさせてもらえるなぁと思う次第です。

営業活動もアナログ

ノートPCやタブレット端末など、営業にとって当然のツールも、筆者が入社した当時はありませんでした

営業日報も紙。
商品を提案するにも、事前に情報を印字して持ち出す。
持ち出した資料に不足な情報があれば、客先で営業アシスタントに電話で確認する。

もちろん、出張するにも紙と鉛筆。出張から帰った翌日に、出張精算書を紙で記述。
1日の出張が1.5日になる感じですね。

それではやってられないということで、一部の若手社員は、結局自分のスマホを業務利用しているという、会社としてあるべき統制がされていないガバナンスがガバガバ状態に常態化していました。

この潜在リスクをしっかりと会社経営層に理解させた上で、後述の「セキュリティ基準」を骨子だけでも早急に定める必要があります。

この課題の対応に関しては実際に現場で辛労を味わっている営業からのニーズが高いはずなので、改善活動を進めやすい事案です。

セキュリティ基準がない

今時の普通の会社であれば、情報セキュリティ規則が明確に社内規定として存在しています。
しかし地方の中小企業はその「普通」が存在しないことも珍しくありません。

給与や休暇の規定など、労務上の規則については、当然、どんな小さな企業であっても社内規定が存在します。
(その意味では吉本興業ほどの規模の企業に契約書が無かったというのは驚きですが、それは例外としましょう)

労務規定に勤務時間や有給休暇について明記されるのと同じように、情報セキュリティ規則というのも、会社のきまりごととして定義すべき重要事項です。

言うまでもありませんが、会社の根幹がシステムでデータ化されている今の世の中では、その扱いを誤ったがためにシステムを破壊したり、顧客情報を漏洩したとなれば、会社に莫大な損害を発生させ、社会的な信用も失墜するからです。

特に外部から業務を委託され個人情報を取り扱うような企業であれば、ISO/IEC 27001の認証を取得するなどして、客観的に安全性が保証されていない限り、そもそも仕事を受けられません。

そういう業種でなくとも、会社に致命的なダメージをもたらす恐れのある行為は規則で厳格に禁止しないといけません。
そうすることで、万が一問題が発生したときに、それが社員が意図的に規則違反した結果であれば、減給や解雇など懲戒の対象とすることもできます。

逆に言えば、ルールのない野放し状態であれば、いくら「常識的にだめだろう」ということであっても、ルールが徹底されていない限り個人の責にすることはできません。
労務規定に穴があって退職後に残業代を請求されるような事態と同様に、規定でしっかりブロックしておかないと会社として大きなリスクを背負うわけです。

たとえば「無断で欠勤してはいけない」というのは社内規定に書かれなくても社会人の一般常識としてあるわけです。
しかしITのような、知識が赤ん坊レベルから仙人レベルまで幅広く分布するような分野に関しては、「当たり前」が通じない世界であるから怖いのです。

社内セキュリティ基準の構築は、社内システムを任されるような立場になった際には、言われなくても真っ先に取り組むべき仕事となります。
きちんとご丁寧に、IPAで雛形を公開してくれていますから。

業務システムの問題。つまり伸びしろ

オフコンはオワコン

地方の中小企業が使っている基幹システムはというと、SAPなど大企業向けかつ高価なERPパッケージではもちろんなく、Orbic、応研、弥生、ピーシーエーなどの業務パッケージが使われていれば超御の字です。

しかし、パッケージではなく、余裕で10年以上使っている「フルスクラッチ」なシステムだったり、オフィスコンピュータ(通称オフコン)と言われる、IBM、三菱、富士通などの特定メーカーの専用ハード・OS・ソフトからなる中小企業向けの商用システムだったりします。

オフコンは今となっては歴史上の産物のように思われますが、未だ現役で多くの企業で使われています
会計から販売管理まで一企業の業務の多くをまかない、日本の独特な商習慣に合わせて作り込まれています。かつては日本の中小企業の情報化に大きく寄与したものでもあります。

バブル前までの日本の経済成長期に、それまでパソコンなどなかった環境においては、紙と帳簿による手間だらけの管理を減らす文明の利器としてさぞ革新的な仕組みであったことでしょう。
企業の投資も活発だったとなれば右向け右でどんどん導入が進んだものと思います。

Amazonで「オフコン」を検索すると、1990年前後の「オフコン万歳」的なゴキゲン本がたくさん出てくるので、いかに当時は救いの神のように見られていたかがわかります。

しかしオープン化の波で優秀なパッケージソフトも多数登場する中で、景気も停滞しそのような独自システムに高い費用を払って使い続けるようなユーザーも減っていきます。
NECや日立など大手メーカーの多くが撤退をしたことからもその衰退は明らかです。

もちろん良いところがあり、セキュリティに優れるとか安定性があるとかいった特長を有します。
しかし、そもそも対応できる技術者が絶滅危惧種状態だとか、ちょっとプログラムを修正してもらうのにも100万〜だとかいう時点で、まっとうではないと思うのですよ。

つまり、オフコンはすでにオワコンであり、これを使い続けつのは悪手でしかないというのは、ユーザーはもとよりメーカーさえも理解しています

メーカーにとって利用者の少ないサービスを維持していくのは、いくら高利益商材であっても事業効率が悪く、ましてや団塊世代の退職でオフコンの技術者もどんどん減っていくなかで開発・運用を続けていくことが困難となってきています。
そろそろオフコン使うの辞めてくんないかな、と思ってるわけです。

そんな両思いの(?)メーカーとユーザーですが、より一般的なパッケージ製品に簡単に移行できるかといえば、それたはいへんな困難を伴います
それは別カテゴリにて詳述しますが、かなり時間をかけて戦略的に行わないとできない大プロジェクトとなるので、業務とシステム両方に明るい社員の存在なしには成し得ません。

大小のシステムが外部に牛耳られ意のまま

オフコンをはじめとする基幹業務システムは、プログラム変更や保守などもそのメーカーや代理店お抱えのSEに頼るしかありません
そにれより非対称な力関係が生み出され、あらゆる作業の費用もほぼ言い値になってしまいます

オフコンなど業者依存度の強い特殊なシステムだけならまだ良いのです。
それだけでなく、ネットワークの設定だとか、たかがクライアントパソコンの設定程度のことであっても、会社で妥当性を判断できる人がおらず苦手意識があると、相見積もりを取る労力さえ横着しがちです。
結果として社内システムのすべてがまるっと、特定の一企業に長期間依存しっぱなしという、とても無駄でリスクも高い状況が生まれます。

システムの見積もりを出す側の仕事をしたことがある人間であれば、当然ながら客としても見積もりの妥当性や、内容の要・不要についてある程度判断できるはずです。
ましてやWindowsパソコンの設定だとか、ちょっとしたネットワークの変更も、わざわざ外注しなくてもできることでしょう。

ここで注意したいのは、ただ厳しく値引き交渉をするだけではなく、必要なものは正しく評価し自分の会社に説明をして承認を得ることが大事です。

委託先の業者にしてみれば、ひょっとすると今までは、わからない人が根拠もなくただ高い高いと言っていて、委託先の業者もうんざりしていたかもしれません。
また、これも地方企業にありがちですが、マイクロソフト製品の動作についてなどサポート外の質問をしたり、急にオンサイト対応を依頼したりなどのわがままを言っていたかもしれません。
そうではなくあくまで納品されたもので起きた不具合であっても、駆けつけてみたらユーザーの方で勝手な変更をしていたなどということも日常茶飯事です。

受託側のシステム会社から見ると、客先に知識のある社員がいてくれれば、そういった面倒な部分の防波堤になってくれるわけです。
そのような動きをみせていれば、委託先のシステム会社とも円満な関係を築くことができるでしょう。

総括すれば

この記事では、「地方×中小企業」の課題について、「人」と「仕組み」、および「業務システム」の観点で論じました。

しかしそれら課題はすべて伸びしろとも言えるのです。
元SEという立場にとっては、これらの課題を解決して会社を良くするとともに、自分の強みを発揮して実績を上げるためのネタの宝庫となっていることに気づいていただけたかと思います。

それが仕事をする上で大きなモチベーションとなり、都会の大企業の歯車になることで失われがちな「仕事のやる気」を呼び起こすのです。

Q: なぜ田舎でしかも中小?